なぜ、農薬も肥料も使わない家庭菜園なのか?
農薬も肥料も使わない家庭菜園クラブ
KITCHEN GARDEN CLUB, AGROCHEMICALS FREE & FERTILIZER FREE
汚染されている食料と環境はゴメン
人の身体細胞は、およそ3か月でそのほとんどが新しく生まれかわると言われています。新しい細胞は何から作られるかというと、体内に取り込んだ食物からです。水や空気も含まれているわけですが、それらに問題があると健康で生命力に満ちた細胞、身体ができあがりません。よく言われることですが、体調の良し悪しを決定するのは、睡眠・運動・食事です。食事に注目します。どの食材を、どのくらいの分量で、一日に何回食べるか、そういう点にも配慮が必要ですが、食物そのものに見逃すことのできない問題がある。そのことを取り上げたいのです。
特に、食品添加物として使われる化学物質の問題。肉、魚、乳製品に含まれる化学物質や環境汚染によって蓄積される汚染物質。農産物の農薬や肥料による汚染。『複合汚染』や『沈黙の春』『奪われし未来』(この3冊はぜひとも読んでいただきたい)等で指摘されている問題が重要で、みんなに知ってもらいたいと強く思います。
洗剤で洗っても落ちない農薬
汚染された農産物は御免です。スーパー等で一般に売られている野菜(農産物)は、大量の農薬と肥料がつかわれます。農薬と肥料が変化転じて店頭の野菜となる、とまで言われます。野菜は買うものだとすると、その汚染から免れることはできません。洗剤を大量に使い、なおかつ一時間かけて洗っても、残留農薬をきれいに洗い落とすことは不可能です。最近のネオニコチノイド系の農薬は野菜の表面に残るのではなく、内部に浸透しているからです。無農薬無肥料で栽培された農産物が一部で市販されていますが、「高価」なものです。
野菜は買うものではなく、自分で作るもの
野菜は自分で栽培しましょう。家庭菜園(KITCHEN GARDEN)を始めましょう。市販野菜の問題に気付いた人たちは、すでに始めています。最近、家庭菜園が増えてきているそうです。「年に数日しか休めない」というある自営業の方は70坪の家庭菜園を十年以上も続け、自分たち夫婦と遠方で自立しているお子さんの分を自給。朝早いうちに農作業を済ませてしまうそうです。そんな話を最近耳にしました。会社や仕事の奴隷のような生活に甘んじているだけの時代ではなくなっているのです。自分の生活スタイルを会社や仕事の都合に従わせるのではなく、自分で決めコントロールです。
無農薬、無肥料で栽培する家庭菜園
でも、家庭菜園ならそれだけで良いわけではないのです。普通の家庭菜園は農薬や肥料をたっぷりと施しています。テレビ番組でも、慣行栽培(普通の農家の栽培方法)に準じた方法が紹介されているのです。
家庭菜園は、農薬も肥料も一切使わないクリーンな栽培(以下自然栽培と言う)でなければ意味がありません。期待し求めるものが、安全で健康的な野菜、しかもその野菜が本来持っている美味しさなのですから。しかし、農薬と化学肥料を使わないという有機栽培は良く見かけますが、農薬も肥料も使わない家庭菜園は少数派、それも無視できるくらいの微数派でしかないのです。残念ながらそれが現状です。
家庭菜園は自給のための農業、営農は商品作物を生産する農業。自然栽培は、家庭菜園向きです。自然栽培の野菜は、自然であるがゆえに形や大きさがバラバラで、見栄えのするものばかりではありません。市場には出すのは不向きです。しかし、見栄えしなくとも味や含まれる栄養など、野菜の本来の価値では圧倒的に優れています。野菜はファッションではありません。自家消費する分には格好の良し悪しは関係なし。ですから、自然な野菜は、家庭菜園で自給するのが一番です。
福岡正信氏の『一反百姓論』
日本の自然農法の創始者のひとりで、世界的に有名な福岡正信氏は、『一反百姓論』を提唱しました。各世帯に一反(300坪=1000㎡)の畑があれば一年間分の食糧が自給できる。職業がなんであろうとも、まずは一反の畑を持つべきである、と主張したのです。実に卓越した見解だと思います。私たちにとっては、最初から一反の広さは荷が重いでしょうから、その1/10からのスタートで十分。30坪(100㎡)でも食べきれないほどの収穫がありますから。
また、アメリカの元大統領J.F.ケネディが尊敬する日本人の一人として挙げた上杉鷹山(江戸時代の米沢藩主)の藩政に見られることです。身分を問わず、武士であっても菜園を作り食物の家庭での自給を進めました。食用にもなるウコギを垣根として使うなどの飢饉対策の一環でもあったのです。その結果、東北地方が大飢饉に見舞われた際にも餓死者をわずかしか出さなかったと言われています。
大地と交流する生き方
また、太陽の温かみや恵みを直接実感しながら、大地に種をまきその成果を収穫する作業じたいが楽しい。生きる喜びにつながります。ディズニーランドも楽しいでしょうが、そこでは、自分は何もせずに見ているだけの単なる観客。農作業は自分が畑や作物に働きかけ、作物が自分で成長していく不思議で感動的な物語です。自然の中での人間の本来的あり方なのですが、人間社会が複雑になり多様化してきた過程で忘れられようとしているのです。
初めての農薬も肥料も使わない家庭菜園
私たちは、農薬も肥料も使わない家庭菜園で自然な農産物を自給することを目的とします。その目的のために集まるクラブ(同好会)が菜園クラブです。さらに、会員を募り、自然栽培を取り入れた家庭菜園の普及をめざしたい。食の分野で自衛することを広めたいと願います。
新たに家庭菜園を始めようとお考えの方、現にやられている方、当会の趣旨に賛同してくださり入会されることをお勧めします。