グリーンピース・ジャパンのメールマガジン153号(2017年10月)より転載
この夏、殺虫剤フィプロニルに汚染された卵が、ヨーロッパを中心とした40の国と地域でみつかって大問題になったのを覚えていますか。
ネオニコチノイド系農薬とよく似た作用をもつこの農薬、日本でも家庭用害虫駆除剤やペットの寄生虫駆除薬としてひろく流通していますが、稲の苗箱にも一般的に使用されています。
この農薬が、9月30日にヨーロッパ連合加盟国すべての農地で使用禁止になりました。
フィプロニルは、ヨーロッパでは種子をコーティングするなど作物に広く使われますが、少量でもミツバチの行動や学習能力を低下させたり、ウィルスへの抵抗力を弱めたりするといった影響があることがわかっています。
日本では、稲の苗を育てるときの育苗箱や、キャベツ、はくさい、ブロッコリーなどの菜類、その他トウモロコシやてんさいなどの農作物に使用できることになっているフィプロニル。
しかし国立環境研究所による研究報告では、田んぼで育つトンボにも、この農薬が悪影響を与えることなどが報告されています。
ところが規制の厳しくなるヨーロッパとは逆に、日本ではネオニコチノイド系農薬全般についても使用範囲の拡大や残留基準値の引き上げなど、使用が増える傾向にあります。